顧客満足度 = Πフロント社員の真剣さ^Σ管理部門社員の真剣さ

例えば、JALANAは競合である。
飛行機を使って人・モノを輸送するという点では同じことをしている。
ただし、顧客に提供しているベネフィットは細かく見ると異なる。
搭乗前の予約プロセス、チェックインプロセス、搭乗中のサービス、搭乗後の荷物引取りやその後のクレーム対応。
それらも全て含めて、顧客ベネフィットであり、こういう点も含めて全く同じ企業というのは存在しないと思う。全ての顧客体験が、差別化の機会であり、被差別化の脅威となる。

経済が成長するにしたがって、基本的なベネフィット(飛行機であれば安全であるとか定時運行であるとか)はどんな企業でも満たせるようになる。そうすると、細かい差別化の積み重ねで勝負をせざるを得ない。

細かい差別化を左右するものは何か?

おそらくそれは、社員の顧客ベネフィットに対する真剣さではないかと思う。
今より、少しでも顧客に満足してもらうために、何が出来るか?をしつこくねちっこく考えて、小さいことでもちょっとづつでも実践していける企業が勝つ。それが出来るのは、その企業の社員が、少しでも顧客を満足させたいと思う、真摯な態度を持っているからだと思う。こういう社員をより多く有している会社が勝つ。

ところで通常、こういう改善というのは、これまでの業務プロセスを変更することで実現される。業務プロセスの変更には、頭も手も、そして何よりも時間がかかる。これはしょうがないし、だからこそ真剣さが実現の可否を左右する(真剣だからこそ、手間隙をかけて実現しようと考える)。

そう考えると、こういう改善をより多く実施するには、時間の余裕が在ればあるほどいい。だから、既存業務を継続的に効率化することは、間接的ではあるが顧客ベネフィットの継続的な向上に不可欠である。イメージとしては、最初は100%の稼動で、顧客満足100を提供していた会社が、80%の稼動で同じ顧客満足100を提供することが出来るようになって初めて、空いた20%の稼動を使って顧客満足を向上させるための方法を考え、実践できる。そこで100%の稼動で、今度は顧客満足120を提供するようになる。その後、業務を効率化して80%で顧客満足120を提供できるようになって、次の改善を、、、というイメージではないか。

この「余裕を作る」ことの重要性を考えれば、顧客体験を提供するフロント部門のみならず、管理部門の役割は極めて重い。管理部門は、フロント部門をサポートする役割を担う。だから、管理部門がより効率よくフロント部門をサポートすれば、フロント部門は、より顧客ベネフィットを多く提供できるようになるはずだからだ。

よって
顧客満足度∝Πフロント社員の真剣さ^Σ管理部門社員の真剣さ

∝:比例
Π:要素全部の掛け算(社員1の真剣さ×社員2の真剣さ×、、、)
^:べき乗
Σ:要素全部の足し算(社員1の真剣さ+社員2の真剣さ+、、、)

Πの含意は、「一人でもゼロだと、全部ゼロ」ということ。一人でも顧客対応がイマイチだと、それが企業全体のイメージにつながるから。