ナイジェリアでの深刻な原油汚染。除去には一体いくらかかるのか?日本企業にとっての機会は?

国連環境計画が、1960年代から今に至るまで続いている、ナイジェリア南西部のナイジャーデルタ地帯のOgonilandにおける原油汚染の実態と必要な汚染除去の規模を発表しました。レポートは、こちら。現地の写真は、こちら。

なおこれはナイジャーデルタ地帯の一部なので、ナイジェリアのオンショア石油開発による原油汚染の全体では、もっと金額が大きくなるのは間違いありません。(Ogoniland以外は今回のレポート対象外)

ナイジャー「デルタ」地帯というくらいなので、現地は川、湿地帯、マングローブ地帯になっています。しかし原油汚染の影響で、かなり前から魚は獲れず、健康被害も出ています。飲料水については、川からは取れないので4時間歩いて確保するという人もいる模様。

また井戸水で飲料水を確保するケースもあるようですが、原油流出の影響で地下水脈も汚染されているため、中にはベンゼンが安全基準の900倍にも達しているケースがあるようです。

原油流出の原因について、シェルはその多くを現地武力勢力の襲撃や収奪によるものだとしていて、一方で地元住民や人権団体は機器不良だとしています。

現地で操業しているシェルは2008年〜2009年に起きた原油流出については、現地の法律にのっとって責任を取るとしていますが、それ以外については言及がなされていない模様です。正直かなり腹立たしいですが、現地の法律的にはここまでが限度なのかもしれません。(法律を変えればいくらでも過去に遡って補償を要求することはできるでしょうが、現地の石油利権関係政治家の存在を考えると、残念ながら非現実的でしょう。)

この汚染除去作業は、「世界最大、最長期間にわたる」ことになりそうで20年以上かけて、総額10億ドルが必要と発表されています。この作業に向けては、国や石油会社が基金を設立するはずです。水質改善技術を持つ日本企業があれば、これはビジネス的にも、人道的にも大きな意味のある事業になりそうです。