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今週末と来週末で行われるITの科目が、今回のMBAプログラム最後。
先週、事前課題図書が送られていたけれど読んでなかったので、今日読むことに。
ケニアの銀行Equity Bankの事例があったので、以下ケースのポイント。

・Equity Bankは1984年創設のEquity Building Societyという会社が起源。90年代初めに、ケニア国民の住宅購入を支援するために住宅ローン販売会社に
・90年代初頭は苦戦。92年には倒産寸前。不良債権比率54%、累積損失3,300万シリング、流動率5.8%(法定流動率20%を大きく下回る)。94年に住宅ローン販売会社からマイクロファイナンス機関へ事業転換
・人材育成、採用に力を入れる。2004年にEquity Bank Limitedへ。人材育成の買いもあり2004年以降急成長。2005年末は31支店。2006年は43支店へ拡大。ATMの導入・促進により利益率上昇、B/S改善
・2006年にナイロビ証券取引所に上場

・2000年当時ITの状況はひどいもの。地方支店はネットワークに接続されておらず、サービス提供数、対応速度、融資先企業や商品のパフォーマンスが一元化されてない。また、システムのレスポンスが悪く、支店の外に顧客が列をなす状態
・2005年初にITの刷新を決定(遅いなぁ。。。)。ポイントは質(パフォーマンスや支店間通信の強化、あとはきちんと書かれていないけれど、不具合の減少やらバックアップの強化なども含まれる模様)、納期(ケニアの規制変更のため、同年12月までに完了させる必要あり)、コスト。いわゆQCDですな。
・インドのInfosysが作ったFinacleの採用を5月に決定。堅牢性と安さ(7,000万シリング)がポイント。なおFinacleは世界53ヶ国での実績もあるソフトウェア
・実装にあたって、Equity Bankの人員はボランティアで集まった40人。
・顧客がシステムの実装に問題ないかを確かめるUAT(User Acceptance Test)が2005年6月に開始。
・移行期間は全体で5週間。1回の移行で約5支店ずつシステム入れ替え。支店単位でみたときの新旧システム並行運用期間は1週間。
Infosysによるクライアントへのトレーニングは、1.EquityBank自身がユーザをトレーニングできて、ビジネスプロセスの効率化を実現でき、競争力強化を実行できて、1次サポートができるようにする、2.現地トレーニングとクラスルームトレーニングで、後日「Train the Trainer」となる、3.ローテーションベースで勤務時間外にトレーニング、3.トレーニング後は習熟度テストを実施、というものだった。
・実装の総費用は10億シリングだった
・導入に対する反感は高く、経営陣は現場のInvolvementを高めるために腐心した

感想
マイクロファイナンス機関が商用の金融機関システムを導入するということが結構驚き。値が張るので、きちんと利益が出ていないとまず無理だと思う。こう考えると、効率的なマイクロファイナンス事業を小規模のNGOが行うというのは無理があると感じる
・ITシステムの刷新からソフトウェアを決めるまで数か月というスピード感が素晴らしい。
・要件定義→UATまで1か月というのは驚異的。いくら数十で小規模と言えどもこれはすごい。おそらく、Finacleが想定しているビジネスプロセスを丸のみしたのだと思う。もともとのビジネスプロセスがそれなりに近いものだった、ということは考えられないので、大幅なビジネスプロセス変更をEquity Bankの現場が受け入れたということか。現場のInvolvementを高めるというのは大事で、そのためにとった手法が「ボランティアで40人」という工夫だと思う。要は、「やりたい人はやらせてあげるから手を挙げて。手を挙げなくてもいいけど、決まったことにちゃんと従ってね」とやり方。日本だと、なかなかこうは行かない。手を挙げなくても、文句を言う人多数。
・先進国並みのITシステム投資をする余力が、アフリカ企業には既に2005年にあるということの証左。当時は金融機関が主だったかもしれないが、今や先進国並みの投資をしないとアフリカの中でも勝てなくなってきているだろうから、先進国のIT企業にとってアフリカはやはりチャンス。
・結局Finacleを入れてどうなったのかが全く見えないケース読み物なので、教授に聞かねば。

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Twitterでもネタ的なニュースを呟いていますが、自分の備忘録代わりにその日のブログにも掲載します。

DoingBusiness2011発表。トップ50内アフリカ諸国はモーリシャス20位(変わらず)、南ア34位(2ランクダウン)。去年50位のボツワナは52位。大幅アップはルワンダ70→58位、ガーナ77→67位、カーポベルデ142→132位http://ow.ly/34fsU

モーリシャスモザンビークの漁業向けに12億ドルの投資意欲ありと意思表明。内戦によって破壊されてしまったけれども漁業のポテンシャルはありと。年間6万トンの生産を予定。http://ow.ly/34EBx

今年8月に民間企業主体で運行されることが決まったケニアウガンダを結ぶ鉄道RVRについて、ブラジルの鉄道・道路運営会社 America Latina Logisticaがマネジメント・技術サービスを供与することが決定。http://ow.ly/34EIl

南部スーダンの暫定当局は、ICTセクターへの民間事業者の積極的な参画をZainとMTNの役員との会談で要請。政府はライセンス体系の変更も含めて、事業の規制改善を行う予定と。http://ow.ly/34Gqd

南ア与党ANCの青年局が、Malema局長の偽アカウントがTwitterで作られたため「Twitter閉鎖」を指示。世界中から失笑が。なおMalemaというアカウントは12個あり、6個はMalema局長写真がプロフィールに使われていると。http://ow.ly/34Gk7