ジンバブエの対外債務について

ジンバブエに、Zimbabwe Coalition on Debt and Development(ジンバブエ債務開発連合、ZIMCODD)というNGOがあります。

ZIMCODDの試算によると、ジンバブエの対外債務は利息も含めて83億ドルに上るとのことです。(利息は、おそらく対象債務の償還期間全体での支払利息総額を計算したのだと思いますが、詳細は不明。)そして、公務員の月収は200ドル以下で、これにより多くの市民が医療サービスにアクセスできてない、としています。
http://sndden.wordpress.com/2010/10/21/debt-crowds-out-essential-spending-on-health/

ジンバブエでは、出産費用として、都市部の開業医で50ドル、国立病院で173ドル、それ以外の病院(おそらく民間の病院のこと)では250ドルが必要。また、HIV検査のテストが国立病院で1回10ドル。高すぎて、行くことが出来ないとの声が上がっているようです。

一方で、国としての医療費は、一人当たり年間9ドルしか割り当てていないとのこと。

ZIMCODDは、国の多額の対外債務が、国の医療費を縮小せざるを得ない事態に追い込み、結果、市民が被害をこうむっている、として、「市民の社会経済的権利を保障する責任ある貸付と借入」(responsible lending and borrowing to guarantee people’s social and economic rights)を意識づけるためのキャンペーンを展開しているとのこと。

また、商業労働組合会議は、IMFや世銀からの借入は返済すべきでないと主張しています。IMFや世銀は、先進諸国が自国では公共交通機関補助金を出しているのに、途上国へは民営化を迫るなど、自国と違うことを途上国に押し付ける、悪質な機関である、としています。

これは、貸し手側から見ると、どう考えても不合理で、そもそも貸してくれと言っているから貸しているんだし、街金と違って、ちゃんとお互い交渉をして契約を締結しているんだから、返さないというのは筋が通らない。そして、お金を返さないということになれば、もうお金を今後貸さなくなるし、こういうことがあると、投資が進まなくなるけれどいいんですか?と言いたくなる。

一方借り手側から言うと、借りるときの条件として貸し手側が課された経済政策のせいで景気が悪化して返せなくなったのだから、返す必要なんてないだろう。今後は、自国の天然資源の収入を、返済などのためにではなく、自国の発展の為に使う、ということです。

まあ、そもそもの話、医療費をはじめとした社会保障費が、本当に過大な債務返済の為に圧縮されたのか、というところは大きな疑問があります。ただおそらく言えるのは、予定されているスケジュール通りには返したくても返せない、ということなんだろうと思います。

だから払わなくてもいい、というのは暴論で、そういうことをしていると投資が来なくなって借り手側のジンバブエは結局困ってしまうし、貸し手側は納得しないので解決せず平行線をたどってしまう。なので普通に考えれば、現実的な将来の歳入予想に基づいた、返済スケジュールの調整、広い意味での債務救済をしていくというのが、筋なんだろうと個人的には思います。あとは頭の体操レベルですが、国のDebtを有望な国営企業のEquityにスワップするというのはどうだろう。ジンバブエの天然資源企業のEquityだったらそれなりにリターンが期待できそうだし、借り手側からすれば、ある種「返さなくてもいい」お金になるわけで。しかし、なぜこういう議論にならずに、一気に「借金棒引きだ!」という主張になるのだろう。現実的な話をしないと、物事は前に進まないと思う。

ちなみに個人的には、少なくともジンバブエの場合は、国の困窮を引き起こしている原因は対外債務云々ではなくて、農地改革の失敗と、圧制による規制環境・投資環境の不透明化による外国からの投資引き上げ、だと思います。

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Twitterでもネタ的なニュースを呟いていますが、自分の備忘録代わりにその日のブログにも掲載します。

ルワンダで、携帯を利用して農作物の市場価格を知ることが出来るe-sokoサービス。携帯SMSやネットは高いとの批判も、既に3万の登録者ありと。http://ow.ly/2WG7k

ジンバブエの携帯キャリアTelcelが、マーケットシェア拡大スピードが南部アフリカNo1と。昨年6月で26万加入者、今年第1四半期末で百万超へ。http://ow.ly/2WGom

ケニアのSafaricomが米、中、印向け国際通話を1分約25円から約3円へ値下げ。他社に追随したもの。ケニアでの中印の占める位置づけの大きさを実感。http://ow.ly/2WGw5

来週、ガボンの大統領が訪日。メルマガに書いた通り、韓国石油業界はガボンに積極的にアプローチしていますが、今回日本の産業界はガボン側とどういう話をするのか。http://ow.ly/2Y2SL