ちゃんと、考えておきましょうね

既に今更な感がありますが、尖閣諸島の問題について思うところを。

突然ですが、Wargamingというのをご存知でしょうか。wikiを見ると、日本語ではウォー・シミュレーション・ゲームというらしいですが、要は、シミュレーション上で戦争をしようというゲームです。「war」と名前がついているので当然ながら軍隊でも同じようなことを、仕事して(ゲームではないという意味で)本気で行っているようで、「図上演習」という形で行われているようです。

国の安全保障を考える場合に、いわゆる「有事」を想定して、こういう形でのシミュレーションを行うのは、極めて当然のことだと思います。というか、いかなる安全保障政策もこうしたシミュレーション抜きには、立案できないと思うし、予算も計上できないと思います。

なぜならば、現実に起きていない戦争や有事に備えて政策立案やその実現のための予算取りをするということは、、「こういうことが起きないように、こういう政策を取るべし」とか、「こういうことが起きたときに、こういうことをする必要があるから、これだけのお金をください」というプロセスを経ているはずだからです。

だから、国の安全保障では、wargamingは必須と言えます。

ところで日本は、海に囲まれている国。大国の中国との間で共同ガス田開発とかでもめ事があるんだから、中国に領海侵犯されて、その相手をどういう条件の時に拘束するか、拘束をした場合に、どのような反応が相手の国から返ってくるのか、その時に日本としてどのような対策をするのがベストなのか、というのを考えておかないといけないという「必要性」は、素人でもわかると思う。学校で「安全保障立案」という科目のテストというのがあるとしたら、中国からの領海侵犯の予防と対策なんてのは、おそらく大本命で出てくる問題だと思うし、wargamingでもまず考えるべきパターンでしょう。

でも、多分、考えてなかったんでしょうね。
テスト受けるのにヤマ張ってたけど、外れちゃったよ、みたいな。

だって、船長拘束後の中国の反応も予想の範囲内だったにも関わらず(レアメタルの輸出停止なんて、予想の範囲内でしょう)、「首相がいらだつ」なんてことが起きているのは、どう考えても、予想していなかったとしか思えない。

ここが、わからないところなんです。なぜ、考えてなかったのか?

そんなに意外な展開だったのだろうか?とてもそうは思えない。しかも、尖閣諸島付近での違法操業は、日常的に行われてたといういうから、なぜ今回の件が「ああ、想定の範囲内のことだね。中国がレアメタルの輸出を停止?まあ、そりゃそうだわな」という感じで対応できなかったのか、もう本当に理解不能海上保安庁の情報が政府に入っていなかった?まあ、ありそうな話ですが、それでもやっぱり考えておいてほしいなぁ。

別に、あらゆることに対して事前にシミュレーションをしておけというつもりはないです。宇宙人がスーパーハイテクな武器を持って攻めて来たら、そりゃあお手上げです。バンザイするしかない。いきなりアメリカが日本を裏切って、日本に侵攻してきたりするってのも、まあ「あり得ない」としてパターンとして外していいと思います(考えておいて損はないですが)。でも、中国、北朝鮮、ロシアが、領海侵犯、領空侵犯をしてきた場合にどういう対応をするか、そして、相手が日本の対応に対してどういう対策を取ってきて、それに対してどう対応をするか、ということくらいは、きちんと考えておいてほしいと、思うのです。(願わくば、こういう潜在的な問題については、相手国首脳と「握って」おいてほしいと思うけれど、それは高望みですね。)