Bharti AitelとIBMが契約締結の見込み

アフリカで事業を展開している携帯キャリアの一つに、Zainという中東系キャリアがあります。そのZainのアフリカ事業のうち16か国について、インドのBharti Airtelが買収をしています。

今後、Zainブランドが徐々にAirtelブランドに変わり、事業運営もBharti Airtel主導になっていきますが、その過程で当然ながら、Zain買収後には、Zain以上にオペレーションを効率化する and / or Zain以上に成長をしていかないといけません。なぜならば、Zainが事業を売却する際の価格は基本的に、「Zainがこのまま事業を展開したとして得られる収益」から算出されるので、それを上回らなければ投資がペイしない計算になるためです。

したがって、攻めの戦略としては新商品開発、プロモーション、技術開発などを推し進めるとともに、守りの戦略として、オペレーションの効率化が至上命題になります。とくに、今後ネットワークが3G、4Gに移り変わっていくうえで、ネットワークのハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションのすべてに、効率的な運営が求められます。

逆に言えば、これらのサプライヤーからすれば、巨大なビジネスチャンスがあるわけです。なにせ、Bharti Airtel一社を落とせば、16カ国分の商売が手に入る計算になるので。

そんな中で、IBMがBharti Airtelとの間で10年間にわたる基本契約を締結する見込みとなったという発表がなされました。
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/32505.wss

IBMから提供されるサービスの詳細は不明ですが、16カ国にわたるITシステムの統合、アプリケーション管理、データセンター管理、デスクトップ管理などが含まれるであろうとしています。

IBMはこれを足掛かりに、アフリカで急成長している携帯市場で同種サービスを次々と展開することが予想されます。さらにシステムの一部については、Bharti Airtelと他社のシステムを共同管理することまで視野に入れていると考えてもいいと思います。(Bhartiにしてもその他のキャリアにしても、競争優位確保とはあまり関係ないシステム部分の管理については、出来るだけコストを押さえたいわけで、共同利用者が多くなればなるほど、原則的には、単価が下がります。)

IBMとBharti Airtelの取引は2004年から始まっていたとのことですが、Bharti Airtelはこの間に加入者数を6百万人から1億5千万人にまで拡大しています。
この過程で、Bharti AirtelとIBMとの間で緊密な関係が構築されたと推察され、その実績を重視した今回の契約という流れなので、その時期に携わっていなかった日本のIT企業としては今回の案件を取れなかった(そもそも取りにいかなかったかもしれないですが)のは当然ではあります。

ただ、IBMもこれから始めることですし、アフリカには他に大規模に多国籍展開している通信キャリアも存在するので、日本のIT企業には、今後の巻き返しをぜひとも図ってほしい分野です。