世界最大級の鉄鉱石鉱山と中国

鉄鉱石といえばオーストラリア、というのが何となく昔の地理でならった知識ではありますが、実はアフリカのギニアにも世界最大級の未開発鉄鉱石鉱山があります。

Simandouというのがその場所。ギニアの南端なのですが、まずギニアの場所がわからないですよね、ふつう。

ギニアは、このあたりです。アフリカの西。セネガルのチョイ下。

そしてSimadouはその南端。リベリア国境、コートジボアール国境の近く。

どれくらい大きいかというと、推定埋蔵量が22.5億トン。2006年の全世界の埋蔵量が1,800億トンなので、一つの鉱山の埋蔵量としては十分に大きいということが感じられるのではないかと思います。

現在、このうちの半分の鉱区を、資源メジャーであるヴァーレが、残りの半分を中国の国営企業であるCinalcoと資源メジャーRio Tintoのコンソーシアムが持っています。

例によって中国なわけですが、地図を見ての通り、ものすごい奥地なので、鉄鉱石を運び出すためのインフラは全く整備されておらず、これから建設をすることになります。道路で運ぶにせよ、鉄道で運ぶにせよ、インフラ整備に巨額の資金が投じられることになるのですが、このための資金も含めて先日、Cinalcoが13.5億ドルをRio Tintoに支払い、その見返りとしてCinalcoの権益を47%にまで高める、というディールが成立しました。

中国の資源開発というと、ODAでドカドカとインフラを作って、その見返りに資源を獲る、というのばかりだと思われがちですが、こういう普通のビジネストランザクションでも、中国というのはその資金力を背景に権益を獲得している、というのを示す例だと思いました。
(もちろん、Cinalcoは中国の国営ですし、ギニア政府もこの鉱山開発から利益を得る利害関係者なので、政府レベルの交渉でDoneしたディールであることは間違いないですが、途上国のインフラ開発それ自体を目的としたものではなく、あくまでビジネスを成立させるための資金供与ということで、通常のODAとは毛色が違います。)