マニフェストを読む前に考えること

先日、在外投票をしてきました。在外投票は、日本の投開票日に票が日本に到着しないといけないので、常に期日前投票になります。今回は、6月25日〜7月3日までが投票期間でした。

こちらにいると、ポスターもないし、街頭演説もないし、選挙カーも当然回ってこない。テレビの討論も無い(YouTubeでは見られるかもしれないけど)。なので、ネットで情報を集める。

そこで各党のマニフェストを見ようかとということで色々と見始めたのですが、ここでふと思ったことが。

各党の情報を見て、その上で考えるという方法は、実はあまり賢いやり方ではないのではないか、と。マニフェストをはじめとした色々な情報は、各政党が自分たちの言いたいことが&受け入れられやすい切り口で、政策を語る。言い方を変えると、どんな政策にもメリットと同時にデメリットがある(良い目を見る人と、痛い目を見る人がいる)にもかかわらず、メリットばかりが強調されることになって、デメリットを見落とすのではないか。そもそも、切り口が違うことで、いくら大量の情報に触れても、政党間の厳密な意味での公平な比較(apple to appleとも言いますね)というのは、なかなか難しい。

じゃあどうすればいいのか。一つの方法は、自分なりに「○○はこうあってほしい」という理想像(○○には「日本」「地域社会」「自分の生活」などが入る)をまず自分の頭で考えて、それを踏まえた上で、その理想像を日本のあるべき姿としている政党、もしくはその理想像に到達するために最も有効だと思われるアプローチを取っている政党に票を入れる、という方法だと思います。政策のテーマは多岐にわたるので、安全保障ではどうあるべきで、農林水産政策はどうあるべきで、財務はどうあるべきで、、、ということを全て網羅して自分で考えることは、きっとあまり現実的ではない(それができる人は、きっと政治家か政策秘書になったほうがいい)。だけど、何となく「こんな感じの国がいいなぁ」という方向性みたいなものを頭に思い浮かべることはある程度可能だと思うし、このレベルの「フィルター」だとしても、それを持つことによって、各政党の切り口に左右されない判断が出来るのではないかと思う(もちろん、「こんな感じの国」にするためには、各政策テーマについてどういう方向性を取るのがいいか、ということを具体的に考えることが出来れば出来るほどいいとは思いますが。)

もちろん、各党の情報を見て、「おお、こういう方法もあるねぇ。これなら、自分の考える理想像よりもいいね!」というようなのが見つかれば、それはそれで修正すれば良い。

日本にいたときに、こういう「政治・政策の情報をどういう姿勢で読むべきか」のようなものを教わったことが無かったと記憶しているので、何となく書いてみました。なんで教わってなかったか。きっと政治家にとって、こういう姿勢というのは迷惑だからでしょう。