途上国におけるコンサルタントという仕事の存在意義

クラスメイトに、セネガルの小麦会社(民間だけど、ほぼ独占)のProduction Managerをやっている人がいます。サイード君という。

イード君の最近の悩みは、機会損失と工場稼働率のバラツキです
・どこの倉庫にどれだけ在庫があるか分からない
・顧客からのリクエストにストックが追いつかず、土曜休日関係無しに、製造することを余儀なくされたり、、、
・、、、ストックが無いせいで、顧客からのリクエストに応えられず機会損失が出る

当然、過去のデータから当面の需要を予測してそれに基づいて製造計画を立案するということはできてなくて、完全に「行き当たりばったり」。日本ならありえないけれど、これが途上国水準。

本来は、新たな仕組みを作るためのタスクフォースを会社内に作るのが王道だと思いますが、残念ながら、そこまで頭が回る人材がいないらしく、新しい仕組みをゼロから、サイード君と上司の二人で作らないといけないらしい。このあたりも、途上国水準。

ということで、途上国の一企業が成長をしていくにあたって、「いきあたりばったりでやりくりする」から、「ちゃんとした仕組みで回す」に変革させることが、先進国企業の水準へ仲間入りする条件だし、必ずぶち当たる壁なんだろうなと、そういう実例を垣間見た気がします。

ところで、その変革はとてつもなく大きいものであり、かつ、人材がいないことから、サイード君のような極めて少人数の「エリート」で対応しないといけない。かつ、そのエリートというのは、既に仕事がいっぱいいっぱいなところで改革を進めない解けないので、さらに仕事が多忙を極める。部下を育てる余裕も無い。

したがって、とてつもなく苦しい、間違いなくサステナブルでない状況に陥るわけですが、こういうシチュエーションに対しては、コンサルタントというのは極めて有効にワークするんだろうな、と思いました。少なくともグローバルスタンダードの知識を持っていて、それを一企業で活用するために必要な分析や実行計画の立案に100%時間を注げるわけで、時間がなく、経験も無いエリートにとっては、この上なく役に立つのではないか。

先進国でコンサルタントをやっていると、クライアントも競合も既に十分な知見を持って実行もしていて、それでもうまくいかないのでどうにかしてくれ、ということが多い。これをサポートするのも、それはそれで意義があると思いますが、途上国で上記のようなシチュエーションにある企業にサポートするというのが、コンサルティングの、原初的な存在意義だろうし、ビジネスとしてもフィージブルなんだろうなと思います。(まあ、フィーは低くなりますが。)

(ちなみにそもそもの話をすれば、上記の件については、「いくら欠品が発生しようと、工場の都合がいいように設備を稼動させて生産コストを下げ、それを価格に転嫁することで顧客ベネフィットを向上させる」という発想もあり。なぜならば、1.小麦粉は消費期限が比較的長い品物なので、需要者(パン屋さん)の手元で、最終需要(消費者)の変動を吸収できるように何日分かを持っておいてもらうことが可能、2.実質的に競合がいないので、上記1.のような若干の「不都合」は許容される、3.値下げで顧客ベネフィットも向上させられる、と思うからです。パン屋さんの手元である程度の在庫を持ってもらうことを促進するために、急遽お願いされる場合の「特急注文」は価格を高くするというのもありでしょう。もちろん、エクセレントな製造・在庫水準を実現できるような競合がいればこんなことは許されないですが。)