BOPビジネスを特別扱いする考え方は好きになれない

Bottom Of the PyramidでBOP。途上国の貧困層ビジネスということで、ここ向けのビジネスを国を挙げてサポートしようという流れがありますが、好きになれない。
BOPビジネスだからといって、普通のビジネスとやるべきことは一緒。顧客のニーズを拾って商品開発をして、顧客に買ってもらえるようなマーケティングをして買ってもらう。最終需要者の所得が低いとか、直接の顧客が国際機関になったりしたり、これまで多くの大企業が注目してこなかったという特徴を有する市場ではありますが、別にものすごく特別な市場というわけではない。逆に言えば、今の時代、先進国でも途上国でもマーケティングをせずに均一にドバっと同じ商品を販売すると言うのはナンセンスな話。
「誰かが商品を供給しないといけないけれど、ビジネスにならないから企業が商品を供給しない。だから国が支援する。」と言うのであれば、それこそ国際機関や政府が商品を民間企業に発注して、調達した商品を援助物資として流せばいいと思うし、それはそれで国からの特別なサポートと言うのは要らない。ということで、何で国がサポートするのかが分からない。

また、先進国政府がその国の企業のビジネスをサポートするというのは、現地企業からすればアンフェアなのではないか?
アフリカと言っても広いから一概には言えないけれども、少なくとも今自分がいるセネガルは、それなりに新規開業がある(たとえば、2010年1月の月間新規開業数は、商工会議所への登録数ベースで1438)。もちろんそれら新規開業者が行うビジネスの効率が必ずしもいいということは無いし、そのせいで本来は必要としない苦労をしたり、経済成長のスピードが遅かったりするけれども、こういう営みを通じて、少しずつ経済と言うのは成長していくものだと思う。その後押しを、国として行う(例えば企業が伸びやすくなるための市場整備の方法を教えてあげる、ビジネスの問題を解決するための専門家を大量に送り込んで相談窓口にする、などなど)とか、その後押しをビジネスとしてするのもこれはアリだと思う。ポイントは、民間企業同士の競争をゆがめるような形はしないで、現地民間企業の底上げをする機会をフェアに与えるということ。
それに対して、先進国の大企業が、国の支援を受けてマーケティング・市場調査をきっちりやって乗り込んでくる、というのは、こちらの企業から見ると「こっちは金がない中精一杯やってるのに、金を持ってるやつが国の支援を受けて乗り込んでくるなんて、なんなんだ」と不公平な感じを受けるし、こちらの起業家の自助努力の目を摘んでしまうのではないかと感じる。先進国の企業が、自分のリスクで資金を突っ込んで事前調査をして参入し、その結果、地元企業が負けると言うのであれば、まだビジネスの原理だからしょうがないかと言う気はしますが。

ということで、BOPビジネスと言う風に特別視してみるのも、それを国が支援すると言う発想も、どうにも好きになれない。