「IBMはフラットになる」に関連した一考察①

2006年10月16日付けの日経コンピュータに、こんな記事が載っていました。

IBMはフラットになる
 (中略)
(2006年6月9日のサミュエル・パルミサーノ会長の講演を受けて、日本人参加者の目には「日本軽視」と映った可能性を受けて、)
パルミサーノ会長が真に訴えたかったことは、IBM自身が”フラット化する”ということだ。すなわち、全世界170ヶ国、約33万人の従業員を抱えるIBMの全てのリソースを一元管理し、全体最適を図る。パルミサーノ会長は、「世界中の能力をオンラインで活用する時代がやってきた」と強調する。
 すでにIBMは、人材はもとより、データセンターやコンタクトセンターなどの設備や各種ノウハウ、技術や実践事例など、あらゆるリソースを一元管理するためのデータベース構築に取り組んでいる。この構想が完成すれば、顧客企業はIBMが全世界にもつ同一水準のリソースから、もっとも優れたものを選択肢、利用できることになる。日本IBMの大歳卓麻社長は、「地球レベルでの最適化が、顧客の価値向上には必要不可欠だ」と話す。

要するに、
顧客に最大の価値を提供するために、世界中のリソースの中から、最適な価値を組み合わせる。
ということです。

最適とは、ROIが高いということに他ならないので、言い換えれば、
同じベネフィットを提供できるなら、出来るだけコストが安いところから調達する
同じコストがかかるのであれば、出来るだけベネフィットが高いところから調達する
ということになります。

これは、すでに他のあらゆるでは当然ですよね。中国で安く調達して、日本で安い価格で提供する、と。

この当然のことが、IT業界の中の、コンサルティングシステム開発では行われていなかったこと。それは、どうしても地場の強み、商慣習とか、言葉とかが、ビジネスに大きな影響を与えていたからです。

しかし、今後は、どんどん機能分化が進むことで、本当に地場リソースが必要なものだけが地場にのこり、それ以外は、グローバルで一番安いところから持ってくることになる。

したがって、日本IBMの橋本孝之常務執行役員が言うところによれば、「最終的に日本でローカルな働きをするのは、営業部門とコンサルタントの一部だけになるだろう」ということになります。

さて、この動きですが、当然IBMだけの話ではなくて、情報サービス産業全体に関わる話だと思っています。すなわち、「情報サービス産業に関わる日本人が、将来的に担う機能は、営業部門とコンサルタントの一部である」と言い換えられると思っています。

もちろん、一概にこうとは言い切れなくて、企業規模(大企業・中堅企業・中小企業)とシステム構築のフェーズ(営業(コンサル含む)、要件定義、設計、製造、運用)に分けたときに、企業が大きいほど、上流から海外企業への流出が進むと考えています。

この変化量を決めるファクターは、以下の通りだと思われます。
・顧客企業のビジネスプロセスのグローバル性:グローバルな性質が高ければ、それだけ参入しやすい。
・市場規模:市場規模が大きければ、それだけ参入しやすい。

この2つの変化量について、企業規模、システム構築フェーズごとにどのような影響を与えるかを考えると上記の記述のように、イメージとしては以下のようになると考えています。

以上のことから、今後、IT業界にいる人間がどういう行動を取るべきか、もしくは、国家としてどのような対策を採るべきか、を次に考えたいと思います。