TCS J-ODC

http://journal.mycom.co.jp/news/2006/10/19/351.html
ということで、インドのIT業界1位のTCS(タタ・コンサルタンシー・サービス)が、日本向けの開発センターを作りますよ、と。

といっても、別に日本に開発センターを新たに作るわけではない(すでに、横浜にあります)。カルカッタに開発センターを作って、そこに日本向けのノウハウをどんどん貯めていきますよ、ということです。

私なりの意見としては、「あんまり意味が無い」です。

■これをやることのいい点
・日本向けの知見が物理的に蓄積されることで、今までは形式知にとどまっていたものが、内在化して各自の暗黙知の醸成につながりやすくなる。

■これをやることのイマイチな点
・インド国内の知見がたまったとしても、今の日本向けビジネスの一部は中国で行われているのだから、それを取り込まない限り中途半端なものになる。
・開発センターを集中化することで、人員の異動も発生することが予想されるが、家族を第一に考えるインド人が、果たしてすんなりと物理的な移動を受け入れるのか、それによるモチベーション低下があるのではないか。たぶん、自分がインド人で、今、トリバンドラムとかで働いてて、カルカッタに行けっていわれたら、家族とは離れないといけないかもしれないし、気候も風土も全然違うから、あまり行きたくないと思う。
・日本向けのノウハウということで、日本人が行くこともあると思うけど、バンガロールとか、トリバンドラムに比べて、圧倒的に過ごしにくい、環境なので、つらいと思う。。。

そもそも、ロケーションが離れていても、コミュニケーションプロトコルCMMというフレームワークである程度標準化することによって、品質を保っているというのが、インドのオフショアビジネスの本質だと思っているので、物理的な集約、特にオフショア側での集約には、実際上の意味はそれほど無いのではないか、というのが自分としての結論です。

ただし、こういう風に、「インドでも、日本向けに特化したデータセンターを持ってますよ」ということを日本の顧客に言えるようになる、というのは強みになるかもしれません。でも、そんな言葉でなびいてしまうような顧客も、どうかと思いますが。