売上って何でしょう?

財務諸表の中で、何が自分や会社にとって、押さえておくべき数字か、を考えていました。
とりあず、「売上」には着目しよう、と思い、自社の推移や、他社比較を一通り終えたところで、ふと、疑問が沸きました。


売上に着目する意味は、何なのか?


どう考えても、企業のアウトラインをつかむのに、必須の数字であることは間違いなありません。しかし、「なぜ大事か」を突き詰めて考えてみると、なかなか釈然とした答えが出てきませんでした。


「企業活動のすべての源泉だから」という言い方は、できると思います。
しかし、企業活動の源泉になるのは、厳密に言えば、税引き後当期利益です。したがって、会社を動かすための源泉という意味では、売上だけに着目してもあまり意味はなく、費用との相対的な比較をする必要があります(もちろん、売上がなければ利益はないのですが)。


自分の宿題提出フォーマット的に、「なぜ、この指標に着目しているか」を書くようにしていたので、かなり煮詰まってしまいました。


そこで、気分転換に夕食を食べに出かけたのですが、その途中で、こんなことを思いました。


売上とは、「顧客からの信頼」を数値化したものではないか。


上述のように、売上は、アバウトに捕らえると、企業活動の源泉と考えることが出来ます。では、その源泉を生み出すものは、何か。


顧客からの収入ですね。顧客からすれば、手に入れる財に対する対価の支払いです。
では、顧客は、どうやって対価を支払うという意思決定を行うのか。また、対価の大きさは、何で決まるのか。


意思決定を左右するのも、対価の大小を決めるのも、顧客の企業への信頼感だと思うのです。


逆に言えば、同じような便益を提供する財でも、企業への信頼感が低ければ、対価は低い。


例を挙げるまでもなく、日常的に、「いいものは、少し位高くても買う。」「あまりよくなさそうなものは、安ければ買うけど、そうでなければ、買わない」という意思決定はしていると思います。(「いいものも、値切る」という考え方もありますが 笑)
この「いいもの」「よくなさそうなもの」というのは、すなわち、企業、もしくは、財への信頼感と言えるでしょう。
(経営的な用語に置き換えるとするならば、信頼感の高さが、プラスに働く場合けば、「ブランドエクイティ*1と言えるし、信頼感の低さが、マイナスに働く場合には、「リスクプレミアム」*2と言えるでしょう。)


顧客からの信頼を源泉にして、その信頼を上回るパフォーマンス(信頼の額を下回るコストパフォーマンス)を発揮することで、利益を得る。これが企業活動ではないでしょうか。


そう考えれば、財務諸表上の数字は、その意思決定の過程において、全て、人と人、もしくは、企業と企業の信頼から成り立っていると、言えると思います。


経営に、テクニックは必要かも知れません。しかし、テクニックだけではだめですね。大事なのは、「信頼」です。定量的・科学的なものでは全くありませんが、これが根本でしょう。


それでは、今日はこの辺で。