日本企業にとっての新興国進出のジレンマ

今の日本企業にとって新興国進出の難しいところは、市場が未成熟な段階での参入は当面利益が見込めないからヒトもカネも張れない一方で、後から入ろうと思うと先行者に現地リソース(流通網、人材、原材料調達先)を押さえられてしまっているのでもはや太刀打ちできない状況になる、というジレンマだと思う。

韓国・中国企業は長期で市場を育てるという方向性だから、市場が未成熟でもある程度ヒトとカネを張り、時間をかけてじっくりと現地リソースを着実におさえにかかる。欧米企業は国際機関・財団・NGOと手を組んで、利益が出ない期間のコストを賄ったり、またこの期間の投資をCSRとして取り組み、植民地時代からのネットワークなども使いつつ着実にリソースをおさえにかかる(というかこういう形でCSRを捉えるケースが多い)。

さて日本企業。今の日本企業に長期の視野でといっても難しいので、どちらかといえば後者に近い形にならざるを得ない。現在の課題は、CSRとProfit Makingがきっちりと別れすぎて、将来のビジネスを育てるための準備段階としてCSRを位置づけるという発想や、長期で見て利益を取るために短期のコストを外部で賄おうという視点が少ないこと。もうすこしCSRを金儲けの補助的手段として、うまく外部リソースも使いつつ活用すればいいのに、と思う。(もちろん、ちゃんとやっている企業もあるけれど)。