政府・日銀を擁護するわけではないけれど、、、

円高になったら立ち行かなくなる、と言って嘆くのは、そろそろ止めにしたらいいのではないかと思う。

円高で立ち行かなくなるというのは、基本的には2つのパターンがある。1.国内生産・海外販売を行う企業:円高になって輸出先の国での販売価格が上昇して、価格勝負で、ほかの製品に勝てないというパターン、2.輸出企業の下請け:輸出企業の販売の落ち込みの影響を受けて、発注が来なくなる。

1.については、価格を下げるため、為替リスクを避けるために中国シフト、現地生産シフトをするのが、そもそもグローバルで戦う企業であれば当然取るべきオプションだと思う。もちろん、価格がいくら高くても勝負できる品質・サービスを提供するという考え方がなければ、サステナブルとは言い難いですが。

2.については、取引先を日本企業だけではなくて、欧米企業、中国・アジア企業に広げればいい。円高になったら立ち行かなくなるような会社としか取引をしていないというのは、今の時代、事業リスクが高いのではなかろうか。中国シフト、海外シフトは、国内製造業の技術空洞化を進めるというのは確かにその通りだけれど、だったら国内製造業企業は、海外にその技術をもってして海外市場に自身で乗り込めばいいし、そこで顧客を獲得できないのであれば、その技術はグローバルでみて残念ながら競争力が無いわけで、早晩、立ち行かなくなる。
(別に技術移転・流出をしろというわけではなくて、その技術を使ってできた製品を海外で売ればいい、という話。当然、価格勝負ではなく品質勝負でないといけないけれど、これは中国の存在を考えれば、海外に打って出て行こうが日本で勝負しようが同じこと。)

これだけの円高になって実質的に何もせず、市場に対して有効なメッセージを出さない政府・日銀の責任はあるかもしれない。でも、残念ながらそういう国に住んで、事業を行っているのだから、しょうがないですよね。

むしろ上記のような視点から、日本政府は中小企業の海外進出をもっとサポートするべきだと思う。例えば、各国大使館の経産アタッシェとJETROが、現地で求められている技術の情報を集めて、国内の商工会議所がそれにマッチするような技術を提供できる企業に声をかける、とか。

なぜこういうことを思うかというと、アフリカにいると、中国の「力」を本当に強く感じるから。例えばモザンビークでは、同じ建設工事をするのに、中国企業のほうが、現地企業・他の海外企業よりも50〜70%も安い。モザンビークの賃金体系で働く労働者よりも安いんです。為替どうこうというレベルの話ではない。