ルワンダ大統領選

1994年に民族間対立で大虐殺があったルワンダ。この大虐殺は、少数のツチ族を、多数のフツ族が虐殺するというものでした。80万人のツチ族が殺害されたとされています。

この大虐殺後に大統領となったのが、ツチ族のポール・カガメ氏。2003年の大統領選で圧倒的多数の支持を得て再選を果たし、今回の選挙でもまず間違いなく勝利するものと予想されています。

背景には、以下のような「実績」があります。
・大規模紛争無し
識字率の向上:74.5%(2002年)→97%(2010年)
・2008年の経済成長率:11%(その後は経済危機で若干停滞)
・外国からの投資額:2003年 ほぼゼロ
          2008年 1億2千万ドル
          2009年 5億ドル(政府推計)

これだけを見ると、再選も納得できます。一部報道によれば、全国民の80%がカガメ氏支持に回るのではないかとされています。

一方で、フツ族ツチ族の間で全く緊張感が無くなったかというとそういうわけではないようです。人口ベースでみれば85%をフツ族が占めるにも関わらず、政府・企業の要職はツチ族にmonopolizeされている、と言われていて、決して全く不満が無いわけではありません。

ルワンダは複数政党制なので野党もいることはいます。ですが、過去6か月の間にいくつかの事件が起きた結果、実質的な野党候補者が「消えて」しまいました。

・有力な野党党首の一人が逮捕された
・反体制派の一人が南アフリカで逮捕された
・野党党首の一人が殺害され川岸で発見された
・また別の野党候補は、大統領候補選に「手続きが間に合わなかった」として立候補を拒否された

また、一部のルワンダ国民の間では、カガメに反対するような投票を自由に行える感じではない、ということです。
・村レベルまで、カガメ氏の選挙応援に参加するように強烈なプレッシャーがかかっている
・カガメ氏を支持しなかった多数の人が職を失ったり逮捕されたりしている
ルワンダ国民は、黙ることにしてしまった。

したがって、人口ベースで圧倒的多数のフツ族といえども、今回の選挙では結局有力な候補を立てることができずに終わってしまいました。

以上のことから、カガメ氏の再選は間違いないでしょう。また、西側諸国はカガメ氏を基本的に支持しています(米国は過去10年で10億ドルに上る援助を行っています)ので、少なくとも今回の選挙結果については、世界的に「問題のない選挙だった」という見方がなされるものと思われます。一方で、米国でもカガメ氏の勝利を認めないように抗議活動が起こっており、選挙後も尾を引きそうです。