「お母さん」を狙え!任天堂がWiiに託すお茶の間戦略

今週の日経ビジネスの第2特集です。
任天堂が、DS、Wiiという商品に対して、どういうことをコンセプトに据えて開発してきたか、と言うことが語られている特集です。

背景は、「ゲーム人口減少への危機感」です。

子供はゲームで楽しんでいるのに、その親は一緒に遊んでいないとか、社会人が忙しくなって昔ほどゲームで遊んでいないとか、子供がゲームを卒業するタイミングが早まっているとか・・・。前々から薄々と感じてはいましたが、冷静になって調べてみると、どの角度から見てもゲーム人口は減っていることが分かりました。このままでは私たちの将来はない。従来の延長線上にはないことをやってゲーム人口を拡大させないと駄目だと確信したのが、2002年から2003年にかけてです
(岩田社長)

その背景に対して、商品戦略上で打ち出していくコンセプトとして考えたのが、「お母さんに嫌われないゲーム」でした。

据え置き型ゲーム機だから、家庭の居間にあるテレビにつなぎ、家族全員で使ってもらえれば、ゲームのユーザーは増える。そのためには、これまでゲームに関心の無かった人々、特に母親に、ゲーム機が邪魔だと感じさせないようにしないといけない。
(岩田社長)

さて、このケースを一段抽象化すると、以下のメッセージが抽出できます。
商品を開発・販売するときには、その商品のユーザーが属するコミュニティが、コミュニティ全体としてハッピーになることを考えることで、コミュニティに属する非ユーザーであった人々をも、ユーザー取り込むことができるケースがある

この「拡大することがある」ということが成立するための必要条件は、以下の通り。
・商品の使用にコミュニティが影響を与える(ゲームをするという行為は、家族の生活スタイルに影響される)
・商品の使用がコミュニティに影響を与える(ゲームをするという行為は、家族の生活スタイルに影響を与える)
・コミュニティに比較的強い連帯感がある(家族というのは、連帯感がある)

このような性質を持つ商品の最たるものが、「ウェディングプランニング」でしょう。
ウェディングプランナーが企画して開催する結婚式は、当事者の新婚夫婦(ユーザー)が属するコミュニティ(親族、友達、会社の上司)に影響を与えるし、逆に結婚に関する意思決定に、そのようなコミュニティが大きな影響を及ぼすことは明白。
したがって、ウェディングプランニングは、当事者の新婚夫婦の幸せだけではく、その結婚式によって、周りにいる人がハッピーになることを考えることが重要だし、それがうまく行けば、一気にユーザーが拡大することがあるといえます。

他にも、コミュニティを「家」系とすると、不動産、レジャー関係は、大体当てはまると思います。

ちょっと、これだと例がつまらないので「家」系から外れると、、、「転職コンサルティング」なんてのもありかも。
転職と言うのは、転職者がもちろんユーザーですが、実際には、転職先、転職元(辞める会社)の会社の人々、家族、友人に影響を与えるし、それらの人々から影響も受ける。
したがって、転職コンサルティングをするときには、当事者の転職者のことだけではなく、転職先の人は当然として、転職元へのケアのサービスや、転職者の家族を安心させられるような将来プランを一緒に作ってあげたり、転職者の友達を巻き込んだコンサルティングなんてのもやってあげると、いいのかもしれない。

ということで、今日言いたかったことは、
商品を開発するときには、ユーザーの所属するコミュニティとそのコミュニティをハッピーにすることをも含めて、考えたほうが良い
ということでした。