インド人IT技術者の転職事情

インド人はとても転職をします。今自分が働いている会社にしても、入ってくる人も多いですが、出て行く人も多い、とても流動的な環境です。特に、技術的に優秀な人にその傾向が強いとのこと。具体的には、ある会社に入る→どこかの部署に配属→プロジェクトにアサインされる→技術を吸収する→プロジェクト終わり→次のプロジェクト→ の繰り返しですが、このプロジェクトのアサインごとに、「このプロジェクトに入ることで自分のスキルがどれほど伸びるか」を考えて、もしアサインされるプロジェクトで学ぶことが少なければ、上司に他のプロジェクトへのアサインを依頼し、それでもだめなら他の会社へ、という形になります。したがって、プロジェクト単位で動く技術者がとても多い、ということになります。
面白いのは、彼らは決して「フリーランス」と言っているわけではなく、フリーランスとして生きていくつもりは無いのです。あくまで会社をプロジェクト単位で吟味して変えていく、というスタイル。日本ではここまで流動的にはなれないと思います。受け入れる企業側の姿勢がまだ日本の企業は保守的だと思うのです。インドの企業はそうでもありませんが、日本の企業、特に大手の企業だと、「一度入ったら即戦力かつ長く働いて貢献して欲しい」という思いが強いのでは、と思います。だから、このレベルで流動的な技術者に対しては、「結局うちに入れても、すぐにいなくなってしまうのでは」との思いが働くのではないかと思います。
インドでは、この流動性を、技術者側、企業側の双方が認識していくので、出て行くのも入ってくるのも、特に抵抗などはないし、知り合いを通した紹介による転職もとても多いです。この流動性は、必然的に実力主義の文化を醸成することになります。なぜなら、いくら自分がひとつの会社の中でがんばろうと、他の会社から優秀な人がくれば、自分の昇進、昇給はなくなってしまうからです。最適なキャリアパスを探して、必死に努力することで、初めて会社という枠に関係なく、自分の欲しいポジションが得られる、ということになります。この文化が、インドのソフトウェア産業の勃興の要因のひとつではないかな、と最近感じています。