ビジョン

よく聞く言葉ですが、イマイチはっきりしないと思います。
大まかに言えば、「企業の将来のあるべき姿」ということになります。
企業とは、常に拡大再生産を目指す、半永久的組織であるという根源的性質を持ちます。そのときの、目標、目じるし、がビジョンである、という言い方ができます。


このビジョンを構築することによる効果は、以下の通りまとめることができます。

  • ビジョンは企業の戦略上進むべき道筋を示し、戦略を導くことができる。
  • ビジョンは事業のコアの部分を永続させ、企業の独自能力の維持に結びつく。
  • 組織の人々を精神的に鼓舞することができる。

常に、組織の方向性を示して、メンバーを引っ張っていく、牽引役を担います。
したがって、構築するだけでは、道の半ば。それを浸透させ、常にビジョンを意識した行動を取れるようになって、始めてビジョンを構築する意味が出てきます。(ビジョンの浸透の重要性、ビジョンから導き出される行動規範については、別の機会に書きます。)


このような、ビジョンとは、どのような構成要素から成立するのか。
以下の3要素による定義が一般的です。

  1. コアとなる価値感
  2. コアとなる目的
  3. 大胆な目標



1.コアとなる価値観
価値感とは、何か。大まかに言えば、何を重要と考えるか、という考え方ですね。経営理念にあたるものです。創業者の想い、と言うこともできます。
2.コアとなる目的
ミッションとも言います。その会社の、存在事由(レーゾンデートル)ですね。なぜ、その会社が存在するのか。なんのために、存在するのか。
3.大胆な目標
これは、わかりやすいですね。大事なのは、ある程度、具体性を持たせることです。売上規模でもいいですし、○○で一番になる、という考え方も可能ですね。


この3点をまとめて、以下のような形になると、「ビジョン」となります。
[コアとなる価値観]を源流として、[コアとなる目的]をする、[大胆な目標]を目指す。
実際には、価値観や目的によって、文章の形が変わることもありますが、大体このような形に集約することができます。


たとえば、トヨタの場合、以下のようなビジョンを掲げています。*1

2010年グローバルビジョン

Innovation into the Future
〜豊かな社会創りに情熱をかけて〜
創業以来の精神である「モノづくり、車づくりを通して社会に貢献する」ということの意味を今一度かみしめ、強い情熱と高い志を持って、「豊かな新世紀社会を実現する」ために邁進する。

上述の3要素がうまく融合していて、かつとてもわかりやすい、印象を受けます。
このビジョンを(若干無理やり)分解してみると、以下のように考えることができます。

  1. コアとなる価値観【強い情熱と高い志】
  2. コアとなる目的【モノづくり、車づくりを通して社会に貢献する】
  3. 大胆な目標【豊かな新世紀社会を実現する】



このビジョンが明確化され、組織のメンバーに浸透すると、有効な長期的目標として、実効的な意味を持つことになります。以前の自分のブログ*2でも書いた、組織の構成3要素、「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」という観点で書けば、以下のように言うことができます。


「ビジョン」という「共通目的」に対して、それを実現しようとする「貢献意欲」を持ったメンバーが「コミュニケーション」を取りながら行動する。


これが実践されるかどうかということが、企業が組織として動けるかどうか、の出発点になります。


それでは、今日はこの辺で。