モノで稼ぐか、カネで稼ぐか。

まず初めに、中国・インドのように、多くの人口を抱えた国で、GDP成長率の高い国は、大きな機会がある、と言われます。
そこで、「機会」を以下のカテゴリーで分けて考えてみたいと思います。

  1. モノのやり取り(車、機械、等々)
  2. カネのやり取り(銀行、証券、等々)



次に、中国・インドのような国の特徴を書きます。

  1. 経済成長率が高いので、市場は膨張
  2. 市場膨張に伴う、インフレの発生
  3. ハード・ソフト両面における国家の介入の存在



ここで認識すべきは、モノのやり取りは、「絶対額」が勝負ですが、カネのやり取りは、「比率」が勝負になる、と言う点です。
具体例で考えてみます。


1.モノのやり取り
人件費は安いので、安く生産することはできます。また、需要も伸びているので、販売数もうまく行けば大きくなることは明白です。
ただし、物価全体が安いので、仮に大量に販売したとしても、外国企業からみたときに、投資の意味があるか、を考える必要があります。


たとえば、日本であれば、1台の車に対して、
販売額100万円 - コスト90万円 = 利益10万円
の利益が発生すると仮定します。
これを、人件費、物価の安い中国・インドで置き換えると、物価を日本の1/10とした場合、
販売額10万円 - コスト9万円 = 利益1万円
と言うことで、当然ですが、利益も1/10になります。


大きな市場があるといっても、物価の差をカバーするだけの販売が見込めなければ、参入時点での会社への貢献利益は小さいことになります。
したがって、基本的には、将来的な経済成長・インフレに伴う、物価上昇後のための、先行投資という位置づけに近くなるものと考えます。


2.カネのやり取り
経済成長に伴って、資金需要は大きいですね。さらに、中国・インドの利率は、先進国よりも圧倒的に高いため、るので、利益を上げることは可能でしょう。
さらに、銀行・証券の場合は、絶対額よりも、利率が利益に対して大きな影響を及ぼします。


たとえば、日本であれば、銀行から見た貸出金利が1%、借入金利(預金金利)が、0.5%とすれば、100万円の資金を使って、
100万*(1-0.5)/100 = 利益 5千円
を稼ぎ出すことができます。
これが、中国・インドで、経済成長に伴う、金利高を考慮して、貸出金利が10%、預金金利が5%とすると、同じ100万円を使って、
100万*(10-5)/100 = 利益 5万円
を稼ぎ出すことができます。


したがって、参入直後から、バックボーンになる資金さえあれば、大きな利益を生み出すことが可能です。
しかし、大きなリスクとしては、経済の不安定さ、および国家の規制でしょう。このリスクをどこまで抱えた上で勝負をするか、がキモになりますね。


海外企業の、中国・インドを市場と捕らえた参入を、上記のような観点で見てみると、面白いかも知れません。


それでは、今日はこの辺で。